2016.01.22 金曜日

豊橋発:組織の学習力

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 ちょっとだが、連休中「世界の経営学者はいま何を考えているのか」(入山章栄、英治出版)に目を通した。ちょっと生意気な感じのする本だがおもしろい内容だ。
 
 第5章は「組織の記憶力」というテーマだ。個人の記憶力とも違う、個人の記憶力の単純な集合とも違う、組織自体の記憶力というは何だろうか。たとえ、構成員が入れ替わったとしても組織の経験は生き続け発展していく。組織の記憶力というのは個人の記憶力とは異なった何かが実際に存在する。
 
 著者はラーニングカーブが組織にあるかという初歩的な話を紹介する。つまり、鍛えれば鍛えるほど作業効率が上がっていく、学習曲線(learning curve)が変化していくということがあれば組織は学習によって経験を積むと言える。これは私達が普通に体験していることだし、組織が学習するという事実自体は経営学では実証済みの扱いになっているようだ。
 
 さらに、著者は同じチームが経験を繰り返すことの方が、作業能率の向上につながるということを指摘する。チームが学習するとは経験が繰り返されることにより、チーム内での構成員の能力が明確になり、能力に応じた形でチームが合理的に動くようになると言うのである。これも私達は経験済みだ。すばらしい能力のある者を寄せ集めたチームより、繰り返し練習し、いっしょにゲームをしたチームの方が大きなパフォーマンスを獲得する。
 
 このようなチーム内の相互の関係の向上が、総和として集団パフォーマンスを向上させるのであるが、トランザクティブ・メモリー(trans active memory)の考えを紹介する。これは組織内の相互に役割を分担する結果、各構成員が役割に応じて知識や経験を蓄積することを言う。各構成員は各人の正確な知識はしらないが、どんな項目について詳しいかは知っている状態だ。
 
 それは、組織内に「知のインデックス」ができあがり、それが構成員に共有化されている。「あの人は○○についてエキスパートだ。」という時の○○というがインデックスだ。勝れた組織はこのインデックスがすぐれている。
 
 もちろん、組織の学習能力、組織が独自に経験を蓄積して独自に発展していく関係については、単純なインデックスだけの問題ではない。組織を向上させようと動機づける社風が存在することが必要だ。インデックスは組織の学習能力のほんの一部でしかない。
 
 著者の示唆するところの重要な点は、「学習する組織」を考える上で、分析的であること、科学的であることがどいうことであるかを示している点だ。「インデックス」という視点に注目すること、インデックスが組織学習にどのように役割を果たしているかを実証的に明らかにすること、とといった視点の多様性と、実証の重要性を明らかにしている。