2016.02.01 月曜日

豊橋発:ファンドを利用した事業承継

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 私の関与する会社にもファンドを利用した事業承継に成功した会社がある。この会社は高技術をうりにした機械部品のメーカーだ。従業員は50名足らずだが、かなり業績がよかった。

 子供たちはそれぞれ自分の道を歩み、会社の後を継ぐことはない。創業者である社長は65歳で辞めることを決意して、長い時間をかけて従業員の中から後継者を育てていた。

 会社の価値は数億円となった。このような大金は新社長は用意できない。そのため、会社からの拠出金とファンドからの資金提供から工面することになった。つまり、ファンドがMBOを利用して株を買い取ったのである。

 問題はファンドがどのような振る舞いをするかだ。新社長はファンドの対応が気になる。

 一般的なファンドのイメージは「ハゲタカファンド」ような言われ方をして、会社の財産を根こそぎ持って行ってしまうように思われたりする。

 あるいは、部外者から新社長がやってきて、何もかもやり変えてしまう、古参の幹部社員は解雇されるというような恐怖感がある。

 しかし、ファンドもきちんと選べばそんなに急激に会社を変えることはない。
 この事例ではオーナーに代わって従業員が社長となり、そのまま会社が維持されている。譲渡後も会社は絶好調で多額の利益を生み出している。

 ファンドはというと毎月ファンド担当者が取締役会に出席し、会社の月次報告を受けている。経営には特に口出しするようなことは行っていない。事業承継後わずか1年しかたっていないが、2億円かけて新工場も建設した。

 新社長の立場だが、幹部社員の人望も得ており、社内の体制は非常によい。今の会社の状況からすれば彼がクビになることはあり得ない。

 旧オーナーは会社の連帯保証人になっていたのだが、新社長は会社の所有者ではないことから新たな連帯保証を求められてはいない。新しい設備投資は借金でまかなったのだが銀行は連帯保証は求めていない。

 もちろん、ファンドというのは必ず出口戦略を持っている。購入した会社によって何らかの方法で利益を得ようというのがファンドだ。おそらく、5年後、MBOを利用して新社長に株を売却するか、第三者の会社に転売するかしかけて来るだろうとは思われる。顧問弁護士としてはファンドの出方を分析して将来に備えるための準備に入ることになる。