2016.02.04 木曜日

豊橋発:Tシャツプリントと著作権

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 中小企業法務では著作権の問題も無視できない。例えばTシャツプリントなどは著作権の観点から見てどうなんだというような問題も起こってくる。或いは自動車のボディに特別なプリントをしたいが、そのような塗装は著作権の観点から許されるか問題になる。中小企業は個別ユーザーの好みに合わせて活動してくるのでこういった悩みも少なくない。
 
 例えば、Tシャツにディズニーやキティキャットのプリントをしてほしいという時、業者としてはどのように扱ったらよいだろうか。登録商標の問題は別にして著作権法上の問題は無いか誰もが考えるところだ。あるいはやってる事業者から見ると、触れたくないな、顧客に言われるままに行うことだから問題はないと思いたいというところだろう。
 
 著作物というのは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法2条1項1号)。これだけではよく分からないが、絵画とか音楽、文学作品などは必ず著作権があると言って良い。著作権の場合、特許などと違って、登録は必要は無い。
 
 レコードのジャケット、包装紙のデザインなどにも著作権はある。Tシャツにレコードのジャケットをプリントしたいうユーザーがいたら、業者としてはどのように対応したらいいだろうか。
 
 著作物を複写する行為は著作権に言う複製権の侵害となる。正確に複製されたものが頒布されれば頒布権の侵害となる。著作権者の同意無くして複製することは許されない。そのため、Tシャツプリントとは言え勝手に複製することは許されないことになる。
 
 もっとも、複製権には例外があって、家庭内で使用するなど限られた範囲で利用する場合には許される(30条1項、43条)。私的利用目的の場合、複製は許される。
 
 但し、音楽などの場合は例外の例外があって、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製器」を利用する場合はどんな目的であっても許されない。図画や文字などをコンビニで複製する場合は現時点では許されている。法の建前からすると許されないが暫定的に許すとしているのだ(法付則5条の2)。
 
 ああ、なんだかややこしい。ともかく、個人的に利用するかそれに近ければ複製も許される。しかし、それにも実は厳格な制限がある。
 
 著作権法30条1項は「その使用する者が複製することができる。」となっていて、①私的使用であること加えて、②使用者が自ら複製しなければならない。これを厳格に考えると、業者にプリントを委託して、業者がプリントを実施する場合は著作権を侵害することになる。業者は使用者ではないからだ。
 
 では、業者から「先生、プリントしていんでしょうか」などと尋ねられると、次の様に答えることになるだろう。「著作権侵害になる可能性があります。少なくとも、発注者が著作権者の同意を得ているかどうかは事業者としては不明ですから、発注者の責任で注文することにしてもらう仕組みにしておく必要はあります。例えば、『著作権にかかわる問題は発注者の責任でお願いします。当社は著作権侵害ないとの前提でお引き受けしています。』というような告知ぐらいはしておくのがよいでしょう。それでもリスクはあります。」
 
 などと、割り切れないことを言うことになる。
 裁判例としては海外居住者のために、その指図に従って放送番組を録画する行為は複製権の侵害になるという事例がある(知財高判H17.11.15)。