2013.08.06 火曜日

豊橋発:戦略的法律実務

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 戦略的(strategic)という言葉がマネジメント分野ではしばしば使われる。要するに目標を持って科学的,実践的,体系的に事業を展開するということだろう。この「戦略的」というのは法律実務の中でも通用するはずだというのが私の問題意識だ。
 
 法律実務の基本は紛争の予防,処理,解決を目的とする。
 「紛争」は企業にとってマイナスでしかない。紛争はないに超したことはない。紛争によって業務は停滞し,時には大損してしまう。紛争は常に後ろ向きだというのはおおかたのイメージだろう。
 
 確かにそうだ。紛争は,道路の穴ぼこのようなもので,事業運営というドライブを不快にさせるし,停滞させ,時には行き着けなくさせる。法律実務は,穴ぼこを減らし,時には取り除く。
 
 しかし,紛争は不可避的に起こるが,それは企業が前進する過程でどうしても生じてしまうトラブルかも知れない。子供に成長痛があるように,成長の過程で生じるトラブルもあるのだ。組織が拡大する過程でおざなりにされた組織運営のありかた,社員教育のまずさ,書類の未整理,それが放置されたことで生じるトラブルもある。
 
 こうしたトラブルについては,それを修復することは企業にとって新たな発展を約束するものとなる。それは,道路の穴を修復する作業というよりは,未知の道路を作り上げたりする作業に似ている。高速道路を走れない自動車を改造し,走れる能力を身につけることに似ている。「病気」をきっかけに子供に適切な教育,訓練をほどこし,より,より豊かな人間に成長してもらうの似ている。トラブルは発展の種となることもある。
 
 戦略的法律実務はこうした,「紛争を前向きに考える」というコンセプトの法律実務となる。
 労働条件の引き下げは法律上正当な理由が必要だ。戦略的法律実務では本当に引き下げが必要かどうか,そのことが社員に対してもつ影響はどうか,さらに引き下げ後の回復,その後の会社の発展に結びつくのかなどを社長に問題提起する。これが戦略的な法律実務だろう。
 
 中小企業にあっては「戦略的」という考えは,もっと,人間的な表現となる。
 中小企業では企業の相談と言うよりは,社長との相談だ。社長が持っている企業戦略を理解し,それにそった紛争解決のメニューを提供し,社長の意図にそった解決手段を見いだす。企業発展のために共に考える,企業発展のための同志として同じ目線で考えるというところになろうか。