名古屋E&J法律事務所ブログ

2018.11.28 水曜日

交通事故 「事故の関与を否定できません。」

 交通事故、後遺障害、特に神経症状を争うような場合に、診断書に 「事故の関与を否定できません。」と記載されることある。医師はどちらかというと科学者的なので、不確かな問題については、断定しない。断定しないだけでなく、「不明である」とカルテや診断書に記載してしまう。
 
 法律の世界では「不明である」というのは、「存在しない」と同じなので、このような記載については被害者側弁護士としては本当に困る。法律の世界では立証責任という考え方があって、立証できなければないものとして扱うというルールになっている。だから、「不明である」というのは「存在しない」と同じなのだ。
 
 そこで、私たちとしては何とか首の皮一枚でもよいので、有利に書き込んで欲しいと思い、「事故の関与を否定できない」という記載を求めたりする。これは当該後遺症が事故原因であるということが臨床的にも成り立つということを意味することになる。つまり、「不明」というのは臨床上成り立つかどうかも「不明」という意味が含まれている。そこで、「否定できない」とすることで、事故との因果関係は医学的、臨床的判断として成り立ちうると言う意味合いを示してもらうのだ。
 
 しかし、これに対しても、被告側はこんな反論をしてくる。
 
「・・・当該疾病が本件事故により生じたと判断しているものではない。」
 
「しかも、その発現したとうする症状も、どのような症状が事故後発生したか明らかではないし、事故後発生したとの判断も原告の説明を唯一のより所としていると推測され、客観的に検証されたものではない。」
 
「また、『事故の関与を否定できません。』とするのみで、どのような関与をどの程度否定できないかも明らかでない」
 
 この反論はある意味正当な反論だ。原告としては被告の反論に対して、さらに再反論を行うことになる。この場合、疾病が事故で起こるという一般的な医学的経験則があること、事故を契機に急激に症状が悪化したというエピソード、本件疾病がそれに当てはまることなど主張していくことになる。